あの日あのとき言えなかったことも

あの日 あのときに言えなかったことも
「ありがとう」の一言で伝わってしまった
きみがくれた優しさを
ぼくがあなたにあげよう

ああ〜ありがとう
あなたに出会えてぼくは今日もなんとなく
それなりに生きてます
そして出会うだろうまだ見ぬあなたたちと
夢をみてる かなしみのない場所へ

かなしみのない場所へ / 爆弾ジョニー
三ヶ月前、お世話になった養護教諭の先生から「佳奈ちゃんって知ってる?」というラインがきた。「知ってるよ」と返すと、「佳奈ちゃんね、今二年生で定時制に通っているよ」と話してくれた。

佳奈のことをはなすと話が長くなるけど省略気味に話すと、佳奈は中学校のときの同級生であり、同じ美術部仲間であり、友だちだったのだ。
佳奈は三年生になってぱったりと学校に来なくなってしまった、心を閉ざしてしまったんだ。それを知ってわたしはほぼ毎日彼女の家に押しかけて家に上げてもらって漫画を読んだり、ゲームしたりして遊んだ。
心を閉ざした佳奈に、「がんばれ!学校に来なよ!」なんて言えなかった。きっと一番言われたくないであろう言葉と思ったからだ。

結局、佳奈は卒業式の日もそのあとも学校に顔を出すことはなく、卒業アルバムと修了証を家まで届けに行ったときがわたしと佳奈の最後の日だった。

佳奈が高校(母校)に通ってることを知って
どうしても佳奈に謝りたかった。高校のときも会いに行けなかったこと。今でも友だちだと思ってることを伝えたかった。
連絡先はないし、これは会いに行くしかないそう思ってわたしは地元に戻って母校に行った。

知り合いの先生を捕まえて、佳奈を呼び出してもらった。彼女は当時よりひと回り痩せて、髪を伸ばして、可愛らしい口紅をつけていた。

わたしのことを見つけた途端、彼女は「久しぶり!あ〜ゆっちゃんだ〜!」そう言って笑いながら泣き出した。「ありがとう。本当にありがとう。もうわたしなんて忘れられてると思ってた。こうやって会ってくれるなんて思わなかった。ありがとう、ずっと言いたかった」秋の終わりを感じた

わたしはまた何か救われた気がした
何かつながった気がした 見つかった気がした
見つけてもらった気がした
片隅にわたしとの思い出が
佳奈の中に居続けていたということ
その事実は 宝石よりも美しいもので
わたしのかけがえのないものだ

本当に嬉しいんだ うれしいんだよ

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