この街で一番切ないところへ連れてって

ねぇタクシー この街で一番

切ないところへ 連れてって

私よりみじめな 猫を探しても

暗闇から逆に 見つめられてるようで

ねぇタクシー この街で一番

綺麗なところへ 連れてって

雨に濡れた街はどこでも

キラキラしていますよ

ねえお客さん

ねえ、タクシー / 前野健太

こうやってきみを送るのもう三度目だけど

ヤッてないよね

きみがコンビニのトイレに行ってる間に

俺は すごいきみのことを考えたんだよ

別にヤレなくはないけど できないんだよな

なんというか きみのこと尊敬してるんだよ

そう 尊敬してるんだと思う

尊敬してるから 居心地がいいんだと思う

普通にたのしいのかもしれない

なんというか慈愛に満ち溢れてるよね

それは才能だよ

貶し気味できみは人にものを言うけど

棘がまったく感じれないんだ 不思議と

距離感が近いけど 不愉快じゃないし

いやらしさも全くなくって

変な気分にならない

きみはえらいと思う

それなりに その若さで感じ取れてるし

俺は今になって やっと人との向き合い方を

勉強してるところだ

自分のためじゃないんだもんな

いろいろな人の気持ちを汲んで

動いててさ 安心感があるんだよ

見てて思うんだ

話がかなり逸れてしまったけど

うん、尊敬してる

…ところでこの信号を右で大丈夫だった？

「 …いや、左。 」